大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

最高裁判所第三小法廷 昭和24年(れ)1354号 判決

主文

本件各上告を棄却する。

理由

被告人両名辯護人利重節の上告趣意第三點について。

いわゆる自白の補強證據というものは、被告人の自白した犯罪が架空のものではなく、現実に行われたものであることを證するものであれば足りるのであって、その犯罪が被告人によって行われたという犯罪と被告人との結びつきまでをも證するものであることを要するものではない。所論の強盗盗難被害届によれば、現実に強盗罪が行われたことが證せられるのであるから、たといその犯人が被告人であることまでがこれによって判らなくても補強證據として役立つのである。それゆえ、原判決は被告人の自白を唯一の證據として有罪を認定したものではないから所論は理由がない。(その他の判決理由は省略する。)

よって、舊刑訴法第四四六條に從い主文の通り判決する。

以上は、裁判官全員の一致した意見である。

(裁判長裁判官 長谷川太一郎 裁判官 井上 登 裁判官 島 保 裁判官 河村又介 裁判官 穂積重遠)

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例